研修の冒頭はアイスブレイクに続き、自らの特性を把握するワークをしました。物事に取り組む際の姿勢などを自己評価する手法で、2月も実施しましたが、半年以上が経過し、職場の状況などに対応するため、変化させていないかどうかなどを確認。「素の自分」「前回研修時の自分」「今の自分」を比較して考えました。
続いて、課題解決型のアクティビティ「ASE研修」(Action Socialization Experience)に挑戦しました。身体的、心理的に負荷のかかるゲーム形式で、課題ごとにリーダー役を交代。年上のメンバーもいる中でリーダーを務めた2年目の女性は「この方法をやってみますか」「何か改善点はありますか」と積極的に声を掛ける姿が見られました。課題を達成した後はメンバーがリーダーにフィードバック。「リーダーが『落ち着いて』『焦らずに』と言ってくれたので、順序通りにできた」などと話しました。
木々が色づき始めた屋外のスペースに移動し、「チームクッキング」で夕食づくりをスタート。薪を割って火起こしから始め、準備された食材を初見し、チームで対話をしてメニューを決めました。
炊き込みご飯やミネストローネなどのほかに、リンゴとさつまいものキャラメリゼ、焼きバナナといったスイーツも並びました。
夜は焚き火を囲み「セルフストーリー」の時間が設けられました。各自が自分が大切にしている思いや考えを語りました。自由に語り合う中で互いの絆が深まりました。
安藤百福センターに宿泊し、2日目は周辺を回るオリエンテーリング。2チームに分かれ、センターを出発して数カ所のチェックポイントを回り、指定する時間までに戻ることを目指しました。スマホのGPS機能は使用禁止。地形図とコンパスが頼りです。交通量が多い県道は通らないなどのルールも設けました。
それぞれがリーダー、ナビゲーター、ロガー(記録係)などを務めます。高低差がある地形が広がっており、森に囲まれた道や収穫間近の黄金色の田んぼのあぜ道などを歩きます。途中、ヤマドリやサワガニに出合いました。チェックポイントを見つけると、「これだ」と歓声が上がり、記念撮影。ただ、「今、迷子だ」「ここはどこ?」と戸惑う場面も。間違った方向に20分ほど進み、想定したルート上にはないはずの池を見つけて引き返したチームもありました。
一つのチームは制限時間の3分前に到着。約5時間、10㌔以上を歩きました。もう1チームもしばらくしてゴール。リーダーは「雰囲気づくりに心掛けた」と話し、メンバーは「後半みんなが疲れている中でいろいろな話題を振ってくれた」と応じました。
最後に今後も続けたいこと、改善に向けて挑戦したいことを議論。「和気あいあいと楽しみ、ハプニングがあっても前向きに頑張ることは続けたい」「道路に広がって歩いたことがあった。周囲の様子をもっと見て、声を掛けようにする」「ひとり一人の役割をもっと意識した方が良かった」などの意見が出ました。
【研修の振り返りから】
「苦手意識があるリーダー役を経験できた。自分の課題、良い点が多く見つかり、目標も明確になった」
「『合っているのかな?』と疑問を持ちながらも、雰囲気や焦りから確かな根拠やメンバーの同意がないまま突き進んでしまった。決断する時、雰囲気や勢いで判断せず、小さな疑問も言葉にし、相手が疑問を抱えていないか確認したい」
「(優先することを)100がゼロで考えると、できる限りの最適な答えが見つけられなかった。いろいろな選択肢を考える必要性を学んだ」
「フィードバックを受け、客観的な自分の姿を知ることができた」
「チームで動く時、話し合いの場面では自分からまず発信する、何を話し合うのか明確にできるようにしたい」
「メンバーの普段とは違う一面を見ることができたので、ひとり一人の強みをより知って伸ばしていきたい」
「体を動かしながら学び、心の距離もぐっと縮まった。これから仕事も楽しくできそうと思った」
【研修担当者の話】
集団で生活する幼児教育は、大勢の中でも一人ひとりの発達や背景を踏まえたうえで、子どもの気持ちに寄り添いその場その瞬間の判断を迫られる連続です。「遊び=学び」環境を通しての保育をどのようにチームで支え合うかも大切になっています。
一般企業でありましたら、顧客重視・時間の重要性が守られるべきことですが、幼児教育では子どもの主体性やその尊重を大切にし、時として一斉一律の枠を越える必要が多々あります。まさに正解のない最適解をチームで対話をして導き出し、トライ&エラー、リトライしたり、保護者とも丁寧に対話をして合意形成等を行っています。一般企業とは違う微妙な教育の考え方も途中でヒアリングいただき代弁いただいたことはまさにオリジナルで素晴らしい研修を組み立ていただきました。
参加の先生方にはとても貴重で掴み取ってほしい感覚を体験させていただけました。
基盤には、みんなで明るく元気に力を合わせて乗り越える体験ができたことが何にも代えがたい団結力となったと感じています。